センター紹介

世界に先駆けて超高齢社会となった日本では、これまで以上に科学・技術の貢献が期待されている。とはいえ、高齢者のケアだけに偏った技術貢献では、社会の発展が望めない。いま求められているのは、高齢者が持続的に社会参加できる技術貢献である。それには、工学と人文社会科学が融合することを通じて「高齢者の生活空間を視座とした技術貢献」という斬新な発想が不可欠である。

その際、重要なことは、経験とか伝統と呼ばれる、高齢者のもつ「時間の厚み」への畏敬の念である。と同時に、その厚みを次の世代に伝えることが可能となるにふさわしい数の若者がその周囲に存在していることである。高齢者が求めているのは、過去から未来へと続く歴史に連なることへの充実感である。技術貢献はまさにこの充実感を満たすべく行われなければならない。そのためには、まずは、あらゆる世代が積極的に参画するコミュニティの存在が不可欠である。

かくして、あらゆる世代が参画するコミュニティの実現を求めると同時に、「充実感を満足させる技術」という視点からの「技術の価値評価」モデルを構築するために、新たに「コミュニティ創成」という概念を提唱し、その拠点として文理融合型の「コミュニティ創成教育研究センター」を設置する。本センターは「コミュニティ創成」という新概念を定着、発展させる有為の人材の育成もその任務のひとつである。

得られる成果はそのつど高齢化の進む東日本大震災地区において展開すると共に、一般社会にも適用を進める。これにより、それを支える要素技術と「ものづくり」を中京地区の新たな産業創成につなげる。

概算要求採択:平成24年度~平成26年度
高齢社会にふさわしいコミュニティを作る科学・技術
-コミュニケーションのバリアフリー化によるエイジレス・コミュニティの構築― 

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孤立から共生へ」
自宅に閉じこもりがちな高齢者が街に出て、世代を超えた人たちと交わる「多世代共生コミュニティづくり」を私たちは支援します。
そのために、高齢者の身体機能を軽やかに支援して、屋外に出かける意欲を高め、人々とのコミュニケーションを促し、その結果、地域への参加意識や帰属意識が高まるような工学技術の開発と、それを担う人材育成を進めます。

コミュニティ創成教育研究センターの目的と効果

将来構想・期待される成果

(1) 「高齢者の生活空間を視座とした技術貢献」という、従来の工学にはあまり見られなかった発想をもとに、本学にある工学各分野の特徴的な技術を融合させ、そのうえで、複数のコミュニティをモデルとして、フィールドワークを行いながら、技術貢献に関する適合性を人文社会科学的な観点から検証する。工学と人文社会科学とのこうした連携により、工学のさらなる可能性を示すとともに、高齢社会の「課題解決型」研究の拠点とする。

(2) フィールドワークを通じて、本学の学生に、これからの日本社会が抱える、さまざまな問題を解決する上で「工学がいかに大きな役割を果たすことになるか」ということを再認識する機会を多く与える。この結果、学生は意欲的に工学を学ぶことになるばかりではなく、工学の社会的役割を自覚するようになり、日本の将来の発展に大きく貢献する。

(3)日本を筆頭として、これから高齢化が進行する世界の多くの国々において、工学技術が果たすべき役割の議論を高めることによって、新しい研究開発の進展を促し、よりよい社会の構築に貢献する。


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